脳血管疾患は、脳の表面・周囲に多くが発生します。手術での処置中の出血が起きた場合、すぐに止血をします。そのため元の太い血管を一時遮断する事もあります。よって、その広く病変が見れる事が大切になります。その病変が深ければ、見にくい部分も多くなるため、合併症の出現する可能性が大きく変わります。脳の栄養は、動脈を流れる血液です。その血液は、枝分かれしてかなり細くなっていく動脈の中を流れていきます。途中で血流が途絶える様な血管損傷や血栓(血の固まり)が、手術中に起きてしまうと血液が行き届かない場所が出来てしまいます(脳梗塞になります)。脳腫瘍と比較すると、脳血管疾患は血管そのものを治療しなければならないため、症状は大きいなものとなり易いと言えます。
これらの症状は、手術による一時的なものや軽症のためリハビリテーション治療で回復するものも含まれます。重度の場合は、薬物治療やリハビリテーション治療を行っても治らないものや治っても完全ではなく後遺するものがあります。手術中の損傷や障害の程度によります。
* 脳血管疾患の場合は、モニターと特殊な機能のついた手術用顕微鏡が必要です。
脳血管疾患の手術は、熟練した医師と合併症予防をしっかり行えば(モニターや脳外科手術顕微鏡の性能などの手術支援機器を用いる)、合併症は防げると思います。血管疾患が、かなり大きく、形が悪い、動脈硬化が著しい、血管に関わる基礎疾患や嗜好(高血圧・糖尿病・腎機能障害、過度の飲酒や喫煙)の管理や治療が長期に渡り行われていない(放置)などの場合は、環境を整えて手術をしても合併症のリスクは生じてしまいます。加えて、手術に関わるシニアスタッフが多い事も大切です。手術室の中で、合併症を防ぐ目(注意をしたり気付く目)と知識や経験が多くなるためです。