もやもや病


左右の頭蓋内を走行する内頚動脈終末部、前および中大脳動脈が狭窄もしくは閉塞をしてるため、脳へ十分な血液を供給するために、脳底部に動脈性の異常血管(血管の拡張、側副血行路)が認められる疾患です(日本人に多い疾患です)。


原因、病態、好発年齢、発症


明らかにはされていませんが、先天異常、血管の炎症、免疫異常、動脈硬化などが挙げられています。家族内で10-12%に発生(同胞が多い)します。

好発する年齢には小児(3-6歳)、成人(30-39歳)の2つのピークがあります。小児では、虚血症状(脳梗塞のような症状)で発症する事が多い(60-80%)のに対して,成人では脳出血で発症する事が多い(40-60%)とされています。


症状と診断


症状は、側副血行路の拡張による頭痛、けいれん発作、一時的な運動障害(片側の手や足が動かしにくい)・感覚障害言(片側の手や足がしびれる)、言語障害、知的障害などがあります。

診断は、頭部MRI(A)検査にてほぼ診断がつきますが、脳血管撮影による血行動態評価も含め必要です。厚生省研究班の診断の認定基準(判定基準)により判定します。


治療


何年も何十年も状態が変わらない人もいれば、徐々に進行する人もいます。定期的な画像検査(MRI/A)による経過観察が必要です。
明らかに状態の変化がある場合や診断時に脳卒中(脳出血や脳梗塞)の可能性が強いと診断された場合には、予防のため手術治療が効果的です。これは脳へ新たに血流の供給をするようなバイパス経路(直接、間接、直接+間接)を作成する治療方法です。また、血液の中の血小板という細胞の機能を抑えて血液の凝固機能を低下させる抗血小板薬が使用されることもあり、一定の効果があると考えられています。脳卒中を起こした直後の患者には、一般的な脳卒中(脳出血や脳梗塞)に対する治療が行われ、症状が安定した段階で外科的治療を考慮するのが一般的です。


   もやもや病 治療症例